= 自殺志願者 =
  先日、日本からの友人を迎えに空港に行った帰り、ダウンタウンに入るといつもより数段車の量が多かった。これは「イタチの道」を通った方がいいかなと思い、大通りから横道に入った。しかし、そこでもかなり渋滞していた。少しずつ動きながら、なんとかライオンズゲートブリッジを通り抜けノースショアに着いた。いつもの倍の時間を費やした。
  朝から用事で出かけていた家内が帰宅予定を随分すぎて戻ってきた。ライオンズブリッジが閉鎖されていたらしいので、セカンドナローブリッジを通って帰路についたらしい。そこでものろのろ運転だったそうだ。あとで凄いことが起きていたのを知った。

ライオンズゲート・ブリッジ
向こうはダウンタウン
  バンクーバーサイドからノースショアに架かる橋は2本ある。ライオンズゲートブリッジ(Lions Gate Bridge)とアイアンワーカーズメモリアルブリッジ(Ironworkers Memorial Bridge)だ。後者は俗にセカンドナローブリッジ(Second Narrow Bridge)と呼ばれている。

  渋滞の理由はこうだった。

アイアンワーカーズ・メモリアル・ブリッジ
 遠くの山はマウント・ベーカー
  朝9時ごろ、セカンドナローブリッジの外側の欄干に男が上っていた。自殺志願者だった。警察が駆けつけ、すぐに橋は閉鎖された。橋の下にはボートが配備され、落ちたときのために待機していた。数時間後、説得の甲斐があり、男は自殺を取りやめた。

  この騒ぎのために、セカンドナローブリッジを通ろうとしていた車が、ライオンズゲートブリッジのほうに流れてきたので大混雑になったのだ。
  ところが、トロトロ動いていたライオンズゲートブリッジもしばらくするとストップしてしまった。なんと別の自殺志願者が今度はライオンズゲートブリッジに現れたのだ。一旦セカンドナローブリッジからライオンズゲートブリッジに迂回した人が、またセカンドナローブリッジのほうに向かうはめになってしまった。

  結局、2人の違う自殺志願者によって人々は5時間以上もロスをしてしまった。バンクーバーサイドもノースショアサイドも渋滞した車が延々と続いていた。

  今までにも橋から飛び降りた自殺者がいたのだが、今回のように同時に2つの橋に起きたのは初めてのことだ。いったい何人の人が橋から飛び降りているのだろうか。ここに統計がある。

             BC州内の橋から飛び降りた人数とBC州内の自殺者数
2003 2002 2001 2000 1999
おぼれた者 17 30 20 24 16
落ちた者 28 37 35 37 26
総自殺者数 476 536 470 484 498
  この人数を見てBC州だけでも飛び降りる人がたくさんいるのに驚いた。バンクーバーにはたくさんの橋がある。主な橋を述べてみる。

バンクーバー地域でよく車で渡る橋
橋の名前 ( 英語 ) 場所
ライオンズゲート Lion's Gate Bridge バンクーバー=ノースショア
アイアンワーカーズ・メモリアル Ironworkers Memorial Bridge バーナビー=ノースショア
バラード Burrard Street Bridge ダウンタウン=バンクーバー
グランビル Granville Street Bridge ダウンタウン=バンクーバー
キャンビー Cambie Street Bridge ダウンタウン=バンクーバー
オーク Oak Street Bridge バンクーバーリッチモンド
ナイト Night Street Bridge バンクーバー=リッチモンド
アレックス・フレーザー Alex Fraser Bridge ニューウェストミンスター=デルタ
アーサー・レイング Arthur Laing Bridge リッチモンド
ポートマン Port Mann Bridge コキットラム=サーレー
パトゥーロ Patullo Bridge ニューウェストミンスター=サーレー

  ところで、北米で最も飛び降りする人が多い橋はというと、サンフランシスコの「ゴールデンゲートブリッジ」だそうだ。2番目がトロントにある「ブロアー・バイアダクト・ブリッジ」で、これは道路の上にまたがっている高架橋。飛び降りると下の道路に落ち、車に轢かれたりするので必ずあの世に行けるみたい。上下の橋とも交通量が多いので事件が起きると渋滞が物凄いらしい。何とかしようというので、1998年からこの橋に自殺防止用のバリヤーが取り付けられ始め、2003年にようやく完成した。その成果があって最近は飛び降り事件が起きていない。

  それがため、恥ずかしくも第2の汚名をこうむったのがモントリオールにある「ジャック・カルティエ・ブリッジ」(Jacques Cartier Bridge)だ。この橋はかの有名なセントローレンス河をまたいでいる。

  いやまったく世間騒がせな人たちだ。「そんなに死にたいんなら、さっさと飛び降りろー!」って怒鳴りたくもなるよね。だって、たとえば身内が危篤でその橋を渡らなければならない人もいるだろうし、今にも赤ちゃんが生まれるので急いでいる人もいるだろう。大事な商談をミスする人もでてくる。えらい迷惑だ。

  車が渋滞したときいつもトイレのことが心配になる。橋を渡る前に止められた人などは何時間も身動きが取れなかっただろう。どうしたのかなあ。考えると身震いしてくるなあ。。。これからは緊急時に備えてトイレの代用品も車に積んでおこう。
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